高校生等奨学給付金制度は返済不要なの?
2014年度から「高校生等奨学給付金制度」が導入され、生活保護世帯や住民税非課税世帯など、教育資金にゆとりの無い低所得世帯の高校生に対し、「返済不要」の給付金を支給することで就学を支援します。
高校生等奨学給付金制度とは?
高校生等奨学給付金制度が創設された背景には、2010年度に導入された「高校無償化制度」(高等学校等就学支援金制度)において、2014年度から所得制限(市町村民税所得割額が30万4,200円(年収910万円程度)以上の世帯は対象外)が設けられたことで税金が浮いたことがあります。
つまり、余った税金が高校生等奨学給付金の原資に充てられています。
従来、各自治体において高校就学のための助成制度がありましたが、今回の制度によって国による支給基準が確立されたことになります。ただ、施行するのはあくまでも各自治体であり、国の基準とは若干異なる制度を設けている自治体もあります。
給付金は授業料以外の教育費(教材費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費など)の支払いに充てられることになり、世帯構成などに応じて金額が異なります。
高校生等奨学給付金対象世帯は?
高校生等奨学給付金制度の適用を受けるには下記の条件をすべて満たしていることが必要です。なお、細かな条件は自治体によって異なることもあるため、事前の確認が必要です。
- 非課税世帯(生活保護世帯を含む)である。
- 保護者(親権者)の住居が支援を行う自治体内にある。
- 高等学校等就学支援金を受ける資格を有している(特別支援学校高等部の生徒を除く)高校生がいる。
奨学給付金の受給額はいくら?
生徒1人当りの受給額は国公立なのか私立かで変わり、また第2子以降は「15歳以上23歳未満の兄弟姉妹」がいるかどうかで異なります。なお、正確な受給額は居住地の自治体のホームページなどで確認できます。
国の補助基準(年額)
公立・国立 | 私立 | |
---|---|---|
生活保護受給世帯(全日制・通信制) | 32,300円 | 52,600円 |
市町村民税所得割額が非課税世帯(生活保護受給世帯を除く)第1子の高校生等 |
75,800円 |
84,000円 |
第2子以降の高校生等(15歳以上23歳未満の扶養兄弟姉妹が有) |
129,700円 |
138,000円 |
高校生等奨学給付金制度申請はどこで行うの?
高校生等奨学給付金制度の申請は保護者(親権者)が住んでいる自治体の窓口で行います。生徒が通学する高校のある自治体が親の居住している自治体と異なったとしても変わりません。申請すると審査が行われ、審査に通ると給付金が指定の口座に振り込まれます。
高等学校等就学支援金制度との違いは?
名前が似ていることから、「高等学校等就学支援金制度」とよく間違われますが、全く異なる制度です。高等学校等就学支援金制度も子供が高等学校へ進学することで生じる家庭の経済的負担を軽減するための返済不要の給付金ですが、支援の対償は高校生等奨学給付金制度とは違い、「授業料のみ」です。
また、支援金は受給者に支給されるのではなく、学校に直接支給されて授業料に充当されます。
高校生等奨学給付金制度と高等学校等就学支援金制度の違い(全日制)
高校生等奨学給付金 | 高等学校等就学支援金 | |
---|---|---|
制度の趣旨 | 授業料以外の補助 | 授業料のみの補助 |
支給額(年額) | 32,300円~129,700円 対象世帯により変動 | 118,800円~297,000円 学校種別により変動 |
対象 | 低所得世帯 | 所得要件を満たす人 |
給付金支給先 | 受給者 | 学校 |
子供は誰しも平等に教育を受ける権利があります。憲法第26条には『全て国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する』とあります。
そして、条文の第2項に『すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う』とあります。この条文の意味するところは、子供の教育を受ける権利を保障するために、保護者は子供を学校に通わせる義務があるということです。
なお、条件を満たせば、高等学校等就学支援金制度と高校生等奨学給付金制度を併用することもできます。