歩くと保険料がキャッシュバックされる医療保険・あるく保険ってなに?

近年の医療保険は健康な人に対して保険料を割引くものが増えており、血圧やコレステロール値、BMI値が低かったり、禁煙をしたりすると割引を受けられます。

 

さらに最近では、毎日一定歩数以上を歩き続けると保険料がキャッシュバックされる医療保険が販売されています。それが、2017年4月から始められた東京日動海上あんしん生命の「あるく保険(新医療総合保険・健康増進特約付加)」です。

 

キャッシュバック(還付)の内容は?

2年間を計測のための期間とし、半年ごとに4回、既定歩数(1日当りの「平均」歩数8,000歩以上)をクリアしたかどうかを測定します。

 

半年ごとの計測クリア回数に応じて、健康増進還付金が契約から「2年ごと」に支給されます。

 

ちなみに、1日平均8,000歩が可能なのかどうかが気になりますが、厚生労働省のデータでは(2015年)、30〜50代男性の1日の平均歩数は8,134歩、30〜50代女性は7,087歩になっています。

 

一般的に、会社に通勤していたり、買い物などの家事を担っていたりすると、特別なことをしなくても1日8,000歩程度は歩いています。

 

還付金額の計算式

健康増進還付金÷4×クリア回数=還付金額

 

例えば、健康増進還付金が2,400円だった場合、計測期間(半年間)の4期すべての規定歩数をクリアすると2,400円がキャッシュバックされ、2期のみのクリアだと1,200円のキャッシュバックになります。

 

健康増進還付金とは?

健康増進還付金の金額は保険加入時の年齢と性別によって変わってきます。保険加入時の年齢が低くなるほど金額が「小さく」なり、年齢が高いほど「大きく」なります。

 

健康増進還付金(例)

年齢 性別 月払い保険料 還付金額

 

20才

男性 2,734円 1,440円
女性 3,114円 2,400円

 

30才

男性 3,114円 2,400円
女性 3,664円 3,120円

 

40才

男性 4,854円 4,080円
女性 4,264円 4,800円

 

50才

男性 6,934円 9,360円
女性 5,694円 10,560円

女性の方が男性より歩く時間が少ないせいか、努力に対する報奨(還付金)が高く、高齢になると月払保険料より高くなります。

 

保険料差別化の背景

「健康に対する意識が高く、健康維持のための行動をしている人」と「健康に対して無頓着で不摂生な人」とでは、将来的に病気になるリスクが大きく違ってきます。

 

しかし過去、医療保険では加入者の生活習慣で保険料を分けることはしていませんでした。つまり、健康的な生活を送っていた人は保険料の面で不利益を被っていたということです。

 

近年の保険料の差別化は、不公平さの是正と言えます。当然、保険会社にとっても加入者に健康維持を心がけてもらえれば、保険金を支払うリスクが減少するというメリットがあります。

 

健康増進特約の更新は?

保険料がキャッシュバックされる健康増進特約は2年単位であるため、特約の部分のみ2年ごとの更新手続きが必要です。

 

更新の申請をすると告知書による健康上の審査が行われますが、回答内容によっては更新ができません。

 

なお、主契約の医療保険は終身タイプであるため、健康増進特約も更新し続ければ、契約が終わるまでキャッシュバックを受けられることになります。

 

医療保険としての内容は?

あるく保険の保障は東京日動海上あんしん生命の医療保険「メディカルkit NEO」とほぼ同等な内容になっており、日帰り入院の場合は5日分の入院給付金が支給されます。

 

加入可能年齢は20歳〜56歳です。つまり、毎日ウォーキングしていると、一般的な医療保険の保険料を安くできることになります。

 

あるく保険のデメリットは?

あるく保険のデメリットとして、以下が挙げられます。

 

キャッシュバック率の低さ

キャッシュバックされるといっても、金額自体はそれほど大きくありません。

 

加入者によって金額が大きく異なりますが、2年間で平均約1ヶ月分になっており、割引率にすると約4%です。他の健康体割引の10〜30%に比べると、いくら歩くだけとはいえ見劣りがします。

 

活動量計の装着が必要

あるく保険を利用するには、スマホに専用アプリをインストールした上で、歩数を管理するための腕時計の形をしたウェアラブル端末(NTTドコモとの提携)を貸与してもらい、それを毎日つけて歩くことになります。

 

あるく保険は特徴的な保険になっていますが、特約部分を除くとごく一般的な医療保険です。保険料も保障内容からして平均的なものです。なお、リスク細分型の医療保険に関しては、今後とも普及してくると見込まれています。